「脚線美の誘惑 2」 について

今月19日に「まぐまぐ!」より「脚線美の誘惑 2」を発行しましたが、昨年、試行錯誤の一環として、一作目の「脚線美の誘惑」を発行していました。

「脚線美の誘惑」は、現在、Fantasy_since_1959 WebSpace の Back Number から削除していますので、ご参考までにここでご披露します(苦笑。

脚線美の誘惑

1981年7月某日、ハワイ、オアフ島。ノースショアのワイメア・ベイ。

涼が1週間待ち続けた超特大の波がやっと来た。 ビーチは早朝から見物人の山だ。消防車まで来ている。 波がこんなに大きくなると、挑戦するサーファーも限られる。 ショアブレイクが大きい。 涼は地元のサーファーたち数人と海に出て、最初のセットを待った。

不安と緊張感が走る。 最初の大きな波にパドリングを始めた時、少し遠くに見かけないサーファーが一人でパドリングしているのに 気がついた。女だ。涼は自分の眼を疑った。 パドルアウトする瞬間、波のサイズは3階建てのビル位あった。恐ろしい波のパワーだ。パドルアウトも 命がけだ。

次の波で最初にテイクオフしたのは、彼女だ。涼はテイクオフの瞬間を狙いながら、彼女がテイクオフして 凄まじい勢いで落下していくのを見た。

続いて涼がテイクオフした。両足を思い切り踏ん張りボードごと波に食らいつく。 3階建てのビルから危なっかしい滑り台で急降下するような感じだ。波の水圧で身体がバラバラになりそうだ。 涼はバランスを崩して、思い切り海中に飛び込んだ。

このような人生最高の日を過ごした後、涼はサンセットのビーチで彼女と会った。 彼女はカレンという名前だった。フランス系アメリカ人の母と日本人の父のハーフで、 ハワイ大学の2年生だと言った。日本語は堪能だった。 カレンは引き締まった小麦色の肌に豹柄のビキニがよく似合う。長い脚の線が美しい。 野生的で魅力的なロコ・サーファーだ。

涼は自分が日本の大学4年生で、卒業前にワイメア・ベイの巨大な波に挑戦するためにハワイに滞在している と話した。 涼はカレンを滞在しているリゾートホテルのバーに誘った。

バーにはディスコのスペースがあり、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのファンタシィーが大音響で 流れていた。 バーはヴィップ・ルームで限られた人しか入れないようだったが、カレンが一緒のせいか、 すんなり入ることができた。

バーは静かだった。ディスコの曲がBGMのように微かに聞こえていた。 宵の口のせいか、30人は入れそうなバーカウンターには、客もまばらだった。 涼はバーボンをダブルのロックスで、カレンはモスコミュールをオーダーした。 バーテンはアロハシャツを着て、体格が良く、陽気で典型的なハワイアンだった。

ディスコの曲はアラベスクのハロー・ミスター・モンキーに替わった。 ふたりで並んで飲みながらディスコの曲を聴いているうちに、お互いに打ち解けてきた。 カレンはディスコの曲に合わせて身体を揺すった。

「タツロウ・ヤマシタって誰?」 カレンが聞いた。

涼のTシャツの背中に、タツロウ・ヤマシタ・ジャパン・アズ・ナンバーワンとプリントしてあるのに 気がついたようだった。

「俺の一等好きな日本のミュージシャンだよ」 涼が答えた。

カレンがレディース・ルームに行っている間に、バーテンが小声で涼に耳打ちした。 「気をつけろよ。彼女には恋敵が大勢いるぜ」

「あれだけいい女なんだから、そりゃあいるだろう」 言った途端に、後ろから「おいっ。ジャップ!」と呼びつけられた。

振り返ると、1メートル80センチを越す白人の大男が立っていた。 「お前、カレンを口説いているのかよ?」 大男は言った。

「これから、口説こうとしているところだ」 涼が立ち上がって答えた。涼の身長は1メートル80センチ弱だから、二人の身長差は殆ど無かった。

「ふざけた野郎だな。カレンは俺たちみんなのクィーンだぜ」 気がつくと、5〜6人の男たちが後ろを取り囲んでいた。

「クィーンだかなんだか知らないが、俺は惚れちまったんだよ。文句あるか?」 涼が静かに言った。

男たちの中の一人がいきなりビール瓶で殴りかかってきた。 涼は素早くかわすと、相手の鼻を正拳で突いた。鼻血が飛び散り、相手はひっくり返った。

「ファックの前にはキスくらいするもんだぜ!」 涼は吐き捨てるように怒鳴った。

涼は後ろから飛び掛られ、羽交い絞めにされた。今度は涼も避け切れなかった。 涼にパンチとキックの嵐が降り注いだ。

「やめて!」 カレンの大声が響いた。

男たちの動きが一斉に止まった。バーテンは姿を消していた。 カレンは先導していた白人の大男の前に歩み寄ると、顔に平手打ちをした。 男たちはばつが悪そうに姿を消した。

「大丈夫?」 カレンが走り寄ってきた。

「かわいそうに・・・。ごめんね」

涼の顔はボテボテになっていた。いたるところを蹴られたせいか、身体中がミシミシ痛い。 「部屋に行こうぜ」

涼が言うと、カレンは小さく頷いた。

2時間後、涼はカレンとベッドの中に居た。

「で、これがファースト・シーンなの、ラスト・シーンなの?」 カレンが甘い余韻の残った声で聞いた。

「惚れちまったからさ・・・。判るだろう?」 涼が答えた。

「わたしもよ」 カレンが言った。

「どうしてさ?」

「あなたの身体がカッコイイから。あなたは?」

「脚線美に誘惑された」 涼は静かに答えた。

2005年08月25日

今日の一言: 余暇の過ごし方はどう変わるか?